NEO踊るOL。

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【オススメ本0084】強欲資本主義を超えて 17歳からのルネサンス/神谷秀樹

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普段は読まないジャンルの本でも、読書会の課題図書になれば読む!というわけで(笑)、まいどDiscover21社の本です。今回は携書サイズ。

経済とか金融の話って「なんとなく」しか解らないし、何だか難しい印象があって敬遠してたんですが、タイトルの「17歳からの」という部分に惹かれました(笑)


著者の神谷秀樹(ミタニ ヒデキ)さん、実はD21社の干場社長の旦那サマの高校時代の同級生だそう。
「はじめに」の部分で出てきて、思わず「えっ!」とビックリ。
著者の経歴を拝見して、相当遠くの人だなーと思っていたんですが、ちょっと距離が縮まったような…勝手にですが(笑)


さて、肝心の内容ですが、やはり「17歳からの」と題しているだけあって、解りやすい!
専門的な話も、平易な言葉で書かれていて、全く知識なく読んでも理解できました。

以前から、
難しいことを難しく言うのはカンタン。
難しいことを簡単に言うのはムズカシイ。
と言っていますが、まさに後者のお手本のような本だと感じました。

まず1章で本書の大まかな流れが提示され、2章以降に具体的な話について記載されているという構成で、本文の冒頭と言える第2章では「リーマン・ショックとは何だったのか?」からスタート。

あれだけ話題になって、日本でも不況を引き起こした原因と言われるリーマン・ショック
でも、この事件の中身が具体的にどのようなものか、キチンと説明できる人は少ないのではないでしょうか。
私自身も、前職でのキャリアカウンセリングの際、今の転職環境を説明する上でリーマン・ショックを引き合いに出すことも多かったのですが、「じゃあ、何でコレって起きちゃったの?」と聞かれたら、言葉に詰まってしまいます(何となくの説明ならできますが)

細かい部分は本書を読んでいただくとして、要はアメリカにおける「強欲資本主義」が引き起こしたのだ、ということのようです。

アメリカではリーマン・ショック後、大手金融機関に政府の資金投入(資金=主に税金ですよね)が行われましたが、これは政府がその金融機関を「大きすぎてつぶせない」と判断したからだそうです。日本でも似たようなこと、ありましたよね。

つまり、本書の言葉を借りるなら、
「借りるのはボク、使うのもボク」、しかし「返済するのは次世代」。(P55)
ということです。

年収(=税収)以上にお金を使う(=予算)と、家計が破綻するのは当たり前。
国家でもそれは同じなのでは?という主張です。

うん、解りやすいです。

ただ、本書だけでなく、いろんなテレビや新聞の報道を見て思うのが、
このまま国債を発行し続けたら(=国の借金が増え続けたら)、どうなるの?
という疑問(スミマセン、経済や金融、ホントに疎いんです)。

ギリシャの財政危機の報道を見ても、アルゼンチンが過去に財政破綻したと知っても、具体的に私たちの生活がどうなってしまうのか、よく分からないんです。
だって、アルゼンチンは今も国家として存在してるんですもん。

TVで勝間和代さんが「一部上場企業だって無借金経営のところは少ない。国家もそれで良いのでは?」という主旨のことを発言されていましたが、同感です。
(意図と違ったらゴメンなさい。私はそう捉えました、ということでご容赦を)

もちろん、人として「借りたお金は返しましょう」というのは解るんですけれど、んじゃ返さなかったらどうなるの?という疑問は残ったまま。

この疑問はぜひ読書会で解消したいと思います。


また、第4章「さらば、強欲資本主義」で書かれている以下の部分、
僕たちの国は、「GDPの成長」ということを金科玉条のように唱えます。
僕たちが勤める会社は、「毎期増収増益」を目標とします。
そして、この目標は、毎年複利で膨らんでいきます。
でも、どこに到達したら満足するのでしょうか。
いいえ、満足することなどないのです。
無限に成長し、無限に増収、増益しなければいけないのです。(P115-116)
考えてみれば、本当にその通りだなぁと思います。
リソース(=社員や新たなシステム等)が変わらないのに、外部環境の落ち込みを無視して無茶な目標を立てても、社員はやる気を削がれるだけ。
ゴールが見えなくちゃ、誰だって走り続けられないと思います。

毎期増収増益して喜ぶのって、もしかしたら経営層だけなんじゃないかなぁ。
少なくとも私は、喜ぶというよりホッとします。


本書の後半は、じゃあ前述のような「強欲資本主義」を退けて、どこを目指せば良いのか?どんな価値観を持っていくべきなのか?について書かれています。

全てに賛成できるわけではないんですが、この部分はもう少し深く掘り下げて読んでみたかったです(まぁ深く掘り下げると、それだけで1冊の本ができそうなテーマですけれど)

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■編集後記■

何だか、アタマの良い人って、本当にスゴいなぁと思わされた1冊でした。
読書会、めっちゃ楽しみになってきました☆

余談ですが、本書にもあった公的資金の注入により政府援助を受けている金融機関のトップが、莫大なボーナスをもらっていることについては、本当に本当に許せません。
報酬は遡って全て返却するくらいでちょうど良い!と思ってしまいます。
というか、何でそんなことができるんでしょうね…理解に苦しみます。

本書の後半にある「真・善・美」を価値観にして生きていきたいものです。はい。


<目次>

はじめに

第1章 潮の変わり目
     今、世界は変わろうとしているのか?

第2章 リーマン・ショックとは何だったのか?
     アメリカ大金融機関の崩壊が物語ること

第3章 強欲資本主義はいまだ死なず
     今、アメリカはどうなっているか?

第4章 さらば、強欲資本主義
     日本から始めたい新たなルネサンス

第5章 戦争と平和
     アメリカに護ってもらう時代が終わるとき

第6章 文明の進歩について
     テクノロジーの進歩によって得たものと失ったもの

第7章 どんな価値基準をもって生きていくのか?
     強欲資本主義の次の時代の価値観

第8章 きみたちの時代に向けて
     何が強欲資本主義を斃すのか?

あとがき