Good Job Smiley Face Inspirational Quotes Qiqi Emma January 18, 20105 / stevendepolo
こんばんは!お風呂読書でのぼせまくりな踊るOLです。
今日ご紹介するのは、最近書店で軒並み平積みされている伊賀泰代さんの本。
すごくシンプルな装丁で、よっぽど内容に自信があるのかしら…?なーんて穿った印象を持って読み始めたのですが、すみません、最近読んだ本の中でピカ一の本でした…!
著者の伊賀さんは、マッキンゼーで12年間にわたり採用マネージャーをされていた方。
勝間さんやDeNA創業者の南場さん、悦子先生、最近上場されたオイシックスの高島社長などなど、マッキンゼーに限ったことではありませんが、コンサル業界出身で活躍されている方は、本当にたくさんいらっしゃいます。
本書は、そんなマッキンゼーの「門をくぐらせ」てきた伊賀さんから見た、これからの世の中に「本当に必要とされる人」はどのような人材なのか、非常に分かりやすく解説された本です。
<本書のまとめ>
*リーダーシップはあらゆる場面で必要
*リーダーシップは後天的に身につけることができる
*リーダーシップ・キャパシティ不足を認識・改善すべし
では、詳しく見ていきます。
Interview / Alan Cleaver
●リーダーシップはあらゆる場面で必要
「リーダー」という言葉を聞くと、皆さんはどんなイメージを持ちますか?
「ワタシ、リーダータイプじゃないし…」
「いろいろ決めてくれるヒトのことでしょ?」
「今のチームのリーダーがイケてなくて…」
はい、それ全部誤解です。
本書によると、日本では「リーダーシップ」という言葉に対して、さまざまな誤解があるようです。
<成果より和を尊ぶ組織>
「リーダーシップは常に成果主義とセットで語られるべきもの」だそうですが、日本で「リーダーシップ」が誤解される背景に、「組織の和」を優先する文化があるようです。
他部署の判断に口を出さない人たちは、組織の和や組織の秩序を、ビジネス上の利益最大化という成果目標より優先しています。な、何だか、どこかで見たような風景だな…と思った方は要注意!
こういった職場では、リーダーは必要とされません。
(中略)
問題が起こっていても見て見ないふりをし、衝突が起こりそうになれば全員が少しずつ譲り合って衝突を避けます。(P90)
カタチだけ成果主義をマネしても、意味ないんですねー・・・
<さまざまな概念との混同>
この章(第3章)を読んで、ワタシ自身も誤解というか混同していたことがチラホラ。
こんな風にキチンと分けて考えたことがなかったので、目からウロコが落ちまくりです。
特にワタシが膝を打った部分を引用してみます。
*役職(ポジション)とリーダーシップ(P97~)
日本でリーダーシップのある人というと「野球部のキャプテンをやっていた」とか(中略)、役職がその代替概念としてよく挙げられます。(中略)*マネージャー(管理職)、コーディネーター(調整役)(P101~)
しかし、これらは全て役職名であり、リーダーシップの有無を直接的に表すものではありません。
マネージャーは管理者です。求められる業務は、部下の労務管理であり、組織内の個々の仕事の進行管理や品質管理、そして予算管理です。他にも、「雑用係、世話係」「命令する人、指示する人」など、なるほど…と思える例が多数挙げられています。
三名の組織ならマネージャーは不要です。管理が不要だからです。しかし三名の組織でも、成果目標があればリーダーは必要です。リーダーシップを発揮する人がいないと、目標は達成できません。(中略)
この「管理のために必要な役割」と「成果達成のために必要な役割」はまったく異なるのです。
<日常的にリーダーシップは必要>
日本では、「リーダーシップとは、特殊な出来事が怒った時に必要なものという認識が強く、『日常的に誰もが発揮するもの』とは考えられていません」とのこと。
本書では分かりやすい例が挙げられていますが、何か解決すべき問題が起こった際、人は2つのタイプに分かれるそうです。
最初のタイプは、何らかの問題に気がついた時、「それを解決するのは、誰の役割(責任)か」と考えます。決まったことに対して、後からケチを付けるのは、たいてい前者のタイプとのこと。
もう一方の人たちは、それを解くのが誰の役割であれ、「こうやったら解決できるのでは?」と自分の案を口にしてみます。この後者の人を、リーダーシップがあると言うのです。(P196)
問題の大小にかかわらず、リーダーシップを発揮する機会は日常的に存在しています。そして、日常的な場面でリーダーシップを発揮しない人に、大きなプロジェクトや、非日常の問題が勃発した際のリーダーシップを期待することなどできません。(P197)まさに、そうですね。
本書では「救命ボートの漕ぎ手を選ぶ」という例が挙げられていますが、非常に理解しやすかったです。
Team Building and Leadership Favorites 2012 / michaelcardus
●リーダーシップは後天的に身につけることができる
本書ではマッキンゼーの話がたくさん出てきますが、
「自分にはムリ…」なーんて思わなくても大丈夫。
リーダーシップは、訓練さえ積めば、誰でも学び、身につけ、実践できるスキルだそうです。
本書では、第5章で「マッキンゼー流リーダーシップの学び方」が紹介されています。
<基本動作1:バリューを出す>
マッキンゼーでは、日常的に「バリューを出す」という言葉が使われているそうです。
「バリューが出る(もしくは出す)」とは、「何らかの成果(付加価値)を生む」ということで、会議で有益な発言をすればバリューを出したことになる(後略)(P140 )バリューを出さないこと=マッキンゼーでは最も恥ずかしいこととされているそうで、このことを意識していると、「できる限りバリューの高い仕事に優先して取り組もうと考える」ようになるそうです。
このことにより、「リーダーが最もこだわるべき成果の重要性や、それにこだわる姿勢をたたき込まれる」のだそう。
<基本動作2:ポジションをとる>
マッキンゼーでは若手であっても、自分の意見を明確に求められるそうです。
「ポジションをとる」とは、「あなたの意見は何か」、「あなたが意思決定者だったら、どう判断するのか」という意味だそう。
なぜ、ポジションをとることが重要なのか?という疑問が浮かぶかと思いますが、その答えとなる箇所を引用してみます。
「結論を出す=ポジションをとる」ことで、初めて得られるフィードバックや異議は、どんなに事前準備を詰めていても得られないほど有意義なものであることが多いのです(P146)全部準備をカンペキにしてから実行に移すのではなく、走りながら考えるわけです。
<基本動作3:自分の仕事のリーダーは自分>
通常、日本の組織では社長がトップにいて、その下に役員・部長・課長・平社員…と、ピラミッド状になっていることが多いですよね?
著者によれば、マッキンゼーでは「自分を中心とした放射状の組織図」を意識するよう指導されるそうです。
つまり、「自分の仕事に関しては自分がリーダーであり、パートナーやマネージャーを含めた関係者をどう使って成果を最大化するのか、それを考えるのがあなたの仕事だ」ということ。
<基本動作4:ホワイトボードの前に立つ>
これは、上記3つの基本動作を身につけた上で、「それらのチカラを総合的に使いこなし、実際にチームで問題を解決するための実践訓練が必要」ということ。
マッキンゼーでは、この舞台として「インターナルチームと呼ばれる社内チームでの活動」を用意しているとのこと。
(社内旅行のメインイベントを決めるときなど、様々な舞台が用意されているそうです)
ホワイトボードの前に立って議論のリーダーシップをとるには、会議の参加者が発する意見を全体像の中で捉え、論点を整理して議論のポイントを明確にしたり、膠着した議論を前に進めるために視点を転換したりと、さまざまなスキルが求められるます。(P154)社内とはいえ、これらの実践の舞台を経ることで、リーダーシップを身につけていくのだそうです。
Team Building and Leadership Favorites 2012 / michaelcardus
●リーダーシップ・キャパシティ不足を認識・改善すべし
リーダーシップの身につけ方は、なんとなく分かった。
でも、そもそもリーダー不足だと、何がダメなの?という点について。
まず、日本企業と欧米企業が考える「優秀な人」には、大きな隔たりがあるそうです。
日本企業では、
・専門性が高いという人が、いわゆる「優秀な人」と評価されるようです。
・協調性があり、組織のルールを遵守する
・迅速に正確な処理ができる (P175)
(本文にもありますが、こういった人が優秀でない、というわけじゃありません)
一方、欧米企業では、上記のような素質(専門性や技術力)を評価する企業はあるものの、「協調性や秩序維持、正確なプロセス処理を優秀な人の要件として上げる企業は少ない」そうです。
「高い専門性」は「リーダーシップと併せもってこそ評価される資質」であって、1人で研究室に閉じこもって「誰も自分の研究を評価してくれない…」なーんて言ってちゃダメだよ、ってことですね。
このように、日本に不足しているのは、「日本全体でのリーダーシップの総量」=「リーダーシップ・キャパシティ」という著者。
「いつかカリスマリーダーが現れて、魔法のように日本の窮地を救ってくれるはず」なーんて思っていませんか?
その思想は「他者依存」であり、著者はこれを「スーパースターシンドローム」と呼んでいるそうです。
著者の主張は、
日本に足りていないのは、一人ですべてを変革できるカリスマリーダーではなく、あらゆる分野で働く、名もない数多くのリーダーだということを伝えたいのです。(P183)という一文に凝縮されていると感じました。
組織において、このリーダーシップ・キャパシティを一定以上確保することで、初めて組織が変化し始めるとのこと。きっと、組織を国に置き換えても同じことですよね。
本書では、どのような人が「リーダーシップのある人」なのか、様々な例え話や事例によって紹介されています。
前述の4つの基本動作を自分の仕事に当てはめつつ、リーダーシップを持つ&発揮できるように、精進していきましょう!
(偉そうに言ってますが、ワタシ自身、まだまだ未熟モノなので、一緒に頑張りましょう^^;)
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■編集後記■
ようやく書けました!
付箋を貼りまくったので、どの部分にフォーカスしようか悩みまくりだったのでw
他の書評ブロガーさん達は、本書の第4章「リーダーがなすべき四つのタスク」にフォーカスしている方が多かったので、ワタシは敢えて別の箇所にフォーカスしてみたつもりです。
それにしても、本書からは伊賀さんのマッキンゼーLOVERっぷりが、ものすごーく伝わってきます(笑)
それだけ素晴らしい会社ってことなんだろうな~
<目次>
はじめに
序章 マッキンゼーの採用マネージャーとして
第1章 誤解される採用基準
第2章 採用したいのは将来のリーダー
第3章 さまざまな概念と混同されるリーダーシップ
第4章 リーダーがなすべき四つのタスク
第5章 マッキンゼー流リーダーシップの学び方
第6章 リーダー不足に関する認識不足
第7章 すべての人に求められるリーダーシップ
終章 リーダーシップで人生のコントロールを握る
あとがき
ではまた!