今日ご紹介するのは、アップルストアにフォーカスした「アップル驚異のエクスペリエンス」です。
本書は日経BP社のN様よりご恵贈いただきました!
いつもありがとうございます&遅くなってスミマセン…!
著者は「スティーブ・ジョブズ驚異のイノベーション」「スティーブ・ジョブズ驚異のプレゼン」などの著書があるコミュニケーションコーチ、カーマイン・ガロ氏。
約400ページある本なので、以下3つのポイントに絞ってご紹介します!
*ポイント1:マルチタスク能力を開発する
*ポイント2:アップルが使うサービスの5ステップ
*ポイント3:メッセージマップを描く
Apple Store Bahnhofstrasse Zürich / iTux
●マルチタスク能力を開発する
アップルストアに行ったことのある方なら想像つくかと思いますが、全世界に約350店舗展開しているアップルストアは、どのお店も大混雑です。
(本書によると、平均して週あたり1.8万人が来店するそうです…!)
常に人でごった返しているアップルストアですが、従業員はこの「マルチタスク能力」を発揮して、「並行して複数の顧客と会話し、個別対応されていると感じてもらうことができる(P123)」そうです。
小売業に限らず、顧客からのクレームの原因のほとんどは「相手に軽んじられている」という感覚です。
人付き合いでもそうですよね?(メールの返事とか…うう、スミマセン)
では、上記のようなマルチタスクを身につけるにはどうすれば良いのか?
本書では3つのステップが紹介されています。
*ステップ1:あいさつ
アップルでは、接客中に新しい顧客が来店したら、来店からなるべく10秒以内に接客を中断し、
1)にっこり笑って
2)新しい顧客と目を合わせ
3)歓迎の一言をかける
のだそう。歓迎の一言+「何かお探しでしょうか?」と尋ねるとさらに良いとのこと。
急いで対応すべきか否かの検討がつくからだそうです。(P133)
*ステップ2:判断
先客に対応しつつ、新しい顧客に不満を感じさせないための選択肢は4つ
1)速攻:行きたい場所に案内する、メニューを渡す等、短時間で対応できるケース
2)一石二鳥:新しい顧客が先客と同じ要件なら、ふたりまとめて対応する
3)ヘルプ要請:短時間での対応が難しく、別の接客担当が近くにいれば助けを求める
4)待ち管理:1~3に当てはまらない場合、先客の応対が終わるまで待つように伝える
*ステップ3:割り振り
ステップ2でベストだと判断した選択肢の実行。
待ち管理がベストなケースでは、顧客が待ちやすいよう配慮する。
本書によると、この「あいさつ、判断、割り振り」の3ステップは、1分もかけずに実行できるし、それによる顧客満足度も高いとのこと。
Apple Store, Holiday Plaza 開幕盛況 / LJR.MIKE
●アップルが使うサービスの5ステップ
コレがおそらく本書のキモの部分です。
この5ステップを実行することによって、「アップルストアの従業員は、忘れられないリッチな体験を顧客に提供する(P164)」のだそう。
その5ステップとは、頭文字をとって「APPLE」と呼ばれているそうで、
A(Approach):顧客一人ひとりを、あたたかいあいさつで出迎える詳細については、20ページにもわたり、他社の事例も含め紹介されているので、ぜひ本書を読んでみてください。
P(Probe):顧客のニーズを丁寧に聞き出して理解する
P(Present):顧客に解決策を提示する
L(Listen):課題や懸念などをしっかりと聞いて解決する
E(End):あたたかい別れのあいさつと次回の来店をうながす言葉で別れる
一見、どれも当たり前のことに思えるけど、どのくらい「徹底的に」実践できてますか?と尋ねられたら、答えに詰まる人も多いんじゃないかな。
ワタシももう一度、自分の業務を見なおそう。
Apple Store Chicago / cbowns
●メッセージマップを描く
本書の定義によると、メッセージマップとは「チームや顧客と共有できる筋書きがつくれる、パワフルで効果的なコミュニケーションテクニック(P280)」とのこと。
メッセージマップの効果はバツグンで、とある企業では、完成したメッセージマップをラミネート加工し、見込み顧客との面談時に渡しているのだそう。
一見、社内資料と捉えてしまう人も多いが、その企業によると「実際、そのおかげで、何百万ドルという大きな商談がいくつも成立している」とのこと。恐るべし、メッセージマップ。
メッセージマップの具体的なつくり方は以下のとおり。
1)ツイッターにも余裕で書けるヘッドラインをつくる。本書のP283には実際のテンプレートが紹介されています。
まずは、サービスや製品の概要を、40文字で説明できなければならない。
2)セールスポイントを三つ用意する(四つでもよい)。
短期記憶で覚えておけるのは、最大でも3点か4点だ。
3)セールスポイントごとに、取り上げるべき点を洗い出す。
データ、ストーリー、実例は必ず必要だ。
4)ステップ1~3で用意した内容を、メッセージマップのテンプレートにコピペする。
(P281 ~282を適宜抜き書き)
あのiPhoneやiPadのプレゼンも、全てこのメッセージマップを元に作られていると知って、心が踊りました!(もちろん、このマップだけじゃないですが)
このメッセージマップに書かれたキーメッセージを、顧客に対応する従業員の全員が理解をし、ストーリーを自分なりに消化して、しっかりと伝えられるようにすることが大切なんですね。
(たしかに会社の経営理念とか、長いと覚えられないですよね?)
コレが徹底できたら、確かに従業員は情熱をもって自社のファンを増やすべく行動できそうです(もちろん、本書にある通り、フィードバック体制や権限委譲ができてる前提で!)
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■編集後記■
ようやく書けました…!
Nさん、いつもタイミングがズレてて申し訳ないです。。
最初にタイトルを見た時は「小売業向けなのかな?」と思ったんですが、とんでもない!
本書にも書かれていますが、顧客接点のある全てのヒト(つまり、たいていのヒト)に役立つ内容でした!(もちろん、自分の業界に置き換える必要はありますよ)
アップルの他に、ザッポスやラッシュ、リッツ・カールトン、レゴ等、顧客満足度の高い様々な業界の会社のエピソードも紹介されています。
かなり分厚い本ですが、オススメ!
<目次>
はじめに 暮らしを豊かにする
第1部 社内の顧客を奮い立たせる
第1章 夢は大きく
第2章 笑顔を雇う
第3章 勇敢な社員を育てる
第4章 信頼を醸成する
第5章 フィードバックループを育む
第6章 マルチタスク能力を開発する
第7章 従業員に権限を委譲する
第2部 社外の顧客をもてなす
第8章 アップルと同じサービスの5ステップを採用する
第9章 顧客の体内時計をリセットする
第10章 メリットを売り込む
第11章 顧客の内に潜む才能を引き出す
第12章 感動の瞬間を作る
第13章 筋書きとリハーサル
第14章 一貫した体験を提供する
第3部 舞台を整える
第15章 すっきりさせる
第16章 デザインの細部に気を配る
第17章 五感に訴える体験をデザインする
まとめ アップルの魂
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