NEO踊るOL。

もう踊っていないOL。Writer/Editor。おいしい肉に目がない。都内に生息。

【書感】コーチング論だけど自分ゴトとしても読める!自走する人間になるコツ~突破論/平井伯昌

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こんばんは!本を読むのが好きすぎる割に読書量が落ちている踊るOLです。

さて今日ご紹介するのは、競泳日本代表ヘッドコーチ、平井さんの本。

本書は、日経BPマーケティング社のT様からご恵贈いただきました!
ホントにありがとうございます!


ロンドン五輪での日本の競泳チームでのメダルラッシュは記憶に新しいと思います。
でも、正直なトコロ、普段選手たちがどれほどの練習を積み重ねてきたのか、ほとんど伝えられることはありません(あっても一部を切り取っているだけ)。

ぶっちゃけ、ガタイの良い欧米選手のほうが有利に思えますが、本当にそうだとしたら、北島選手の過去2回のオリンピック2連覇はありえないですよね。

となると、小さいカラダでも欧米選手に勝てるようなトレーニングをしているわけで、その鍵を握っているのが本書の著者、平井さんというわけです。


本書はもちろん競泳のコーチングを元に書かれていますが、優れたメソッドは他の業界や職種にも転用できるモノ。

部下のいるビジネスパーソンはもちろん、そうでないヒト―学生や主婦の方、若手ビジネスパーソンなど―にも十二分に役立つコトバが盛りだくさんな本書。


さっそくポイントをまとめてみます。
 

swimming
swimming / Jim Bahn


●自走する選手を作る

五輪という大舞台を目指す選手たちへのコーチングは、ビジネスパーソン向けにも転用できるのでは?と前述しました。

本書を通読して伝わってきたメッセージが、自走する選手(ビジネスの場では部下)を作るということ。

自走、つまり他人の指示が無くても、自ら走れる≒努力を続けられる、という意味です。

そう感じた箇所を幾つか引用してみます。
結果を出したいと思っても、そう思うだけでは成長できません。日々の練習をただこなしているだけでは、少しずつの成長はあっても、大きな飛躍には結びつかない。一気にぐんと伸びるのは、「やりたい!」という本人の意志の力で努力した時です。
 (中略)
まずは結果を出させる。最初は小さな成功体験でいいのです。スモールステップを繰り返し、ある程度のレベルに押し上げてやれば、選手のやる気スイッチが入り、こちらが何も言わなくても自主的に練習するようになります。(P35)
人の指示による選択と、自分で考えた選択では、その後のモチベーションがぜんぜん違う。厳しい道を選ぶ時ほど、自分で選んだという事実が責任や覚悟につながります。(P78)
「自分で頑張るのが当たり前」という環境をコーチが作るのです。(P182)

章ごとに書かれているテーマは異なりますが、共通メッセージがコレなんじゃないかな。


鏡で遊ぶ赤ちゃん
鏡で遊ぶ赤ちゃん / yto


●自分とのコミュニケーションでブレない軸を作る


では、そんな自走する人間になるためには、どうしたら良いのか?

それには、自分との対話が欠かせないと平井さんはおっしゃいます。
上司や周囲の評価ばかりを気にして、真の目的を見失ったまま何となく行動している人は、「何のための仕事なのか」「何のために働き続けているのか」という根本部分が抜け落ちている場合が多い。
(中略)
そこで、自分とのコミュニケーションを取れば、反省と次への課題が見つかる。その繰り返しが、ぶれない信念や決断力を育てます。(P100)
つまり、反省≒自分を振り返ることで、「何のため?」という目的への意識を強くしていくということなのでしょう。

平井さん自身、今でもプールサイドを行ったり来たり歩きながら、自分との対話の時間を大切にされているそう。常に自問自答を繰り返していらっしゃるんですね。

上司として部下に自走してもらうためには、ひたすら自覚を促す・自問自答させることが大切とのこと。
何よりも一番の敵は周りの選手ではなく、自分だと心の底から自覚させることが大事です。勝負に負けた時、「なぜ自分は負けたのか」と自身の責任を自問自答できる人間にならなければ成長できません。
 (中略)
一流と二流の違いというのは、「こんちくしょう、こんなところで負けてたまるか」と思うのか、「誰も見ていないから、もう今日はいいや」と思ってしまうのか。妥協しない日々を積み重ねられるかどうかの差だと思います。(P104)

一方で、こんな厳しい言葉も。
若い頃から仕事を選り好みしたり、自分を過小評価して挑戦から逃げていたりした人は、キャパシティーが広がらず、先細りの人生が待っています。(P173)
「コピー取りはやりたくない」なーんて若手社員の方は耳が痛い?

自信がない人は、自分のことを他人事のように話す傾向があります。
(中略)
そこには、自分の状態を「どうしたいのか」という意志がありません。(P193)
ああ…これはワタシもたまにあります。。
自分のコトを客観視しているんだ、なーんて思っていたらダメですね。自分ゴトにしなければ!

International Money Pile in Cash and Coins
International Money Pile in Cash and Coins / epSos.de


●身銭をきって、インプットし続ける

様々な世代の選手を指導されている平井さん。
コーチング業はアウトプット」とのことで、
結果を出すということは、アウトプットし続けることなのです。でも、忙しさにかまけて、そのままアウトプットだけを続けていると、すっからかんの抜け殻状態になってしまう。つまり、「昔はこうやっていた」と過去の実績に基づいた発言ばかりが増え、斬新で柔軟な発想が浮かばなくなります。(P138)
とおっしゃっています。

インプットを意識的にしなければならない、というのはビジネスパーソンも同じ。

ワタシも前職ではシゴト上でのアウトプットばかりで、インプットを疎かにしていました。
もっと貪欲になれば良かった…と苦い後悔があります。


インプットを怠る危険性と、予防策について引用してみます。
ある時点で成長は必ず止まり、少しずつ高くなっていく壁を乗り越えられなくなります。インプットして学ぶ時間がないから、壁を打破する知恵がなく、考え方も分からないのです。
そうならないためにも、若い頃は結果にこだわらず、実力をつける時期を作ることが大切です。若くなくても、スランプからなかなか抜け出せない時は、原点に戻り、人の意見に耳を傾ければいい。固定観念を打ち破るための頭の切り替えが、自身の可能性を切り開くカギになります。(P52-53)

耳が痛い…という方はインプットが足りていないのかも!?

ワタシも、つい、過去の成功事例に頼ってしまうことがあるんですが、
成功したノウハウは、その時の状況に適したからこそ通用したわけで、状況が変われば無意味になります(P159)
とのこと。ぎゃふん。。


平井さん曰く、ベストなインプット法は「人と会うこと」だそうです。
今は本や雑誌、インターネットからあらゆる情報を簡単に入手できる時代。でも、誰でも苦労せずに入手できるような知識は、知ったところで本当に身につくかは疑問です。同じ知識でも、時間をかけ、身銭を切って会いに行って得たものの方が心に響く。「本当に分かった」と「分かった気になっている」との間には、天と地の差があります。(P149)

ワタシもセミナーや勉強会に積極的に参加するようにしています。
その内容をこのブログでもシェアしていますが、やはり全部はシェアしていないし、しきれません。

その時・その場にいないと伝わらないこと・得られないことって、目に見えないだけで、ものすごくたくさんあるんじゃないかなと思っています。

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■編集後記■

「自走」というキーワード、前職ではしょっちゅう耳にしていたのに、しばらく忘れていました。
環境がどうとかじゃなく、もっと自分を追い込まないとダメですね!

平井さんが北島選手を評している文があったので、最後に引用しておきます。
他人との比較という相対評価ではなく、自分に対する絶対評価から、自分自身、ひいては物事を捉えています。自分にとって価値があるのは、人と比較した評価ではなく、自分が頑張れたかどうか。(P44)
こんな風に心底思えたら、カッコいいですよね~!


ではまた!
最後までお読みいただき、ありがとうございました!

<目次>

第1章 勝つために何が必要か
第2章 選手の心に届く伝え方
第3章 心を強くする
第4章 チームで磨き、個で勝つ
第5章 指導者に必要な思考
第6章 ロンドン五輪へのロングスパート
特別インタビュー