…なんで辞書とか辞典って、こう小難しく書くんだろう… 要するに、カードやローン等の支払いを滞納しているヒトに対して、お金を払ってね?という行為のことです。 (ざっくり言うと、です。厳密には言い方とか細かく貸金業法等で定められています) 本書はそんな「督促」を仕事にしている著者の奮闘記(?)です。 Money - Savings / 401(K) 2013 ●借りたお金は返しましょう 本書に登場する様々な滞納者のエピソード。 いやはや、オソロシイ。マンガのよーな世界って、ホントにあるんだなぁ… 幾つかエピソードの一部をご紹介。税法上,納税者が納付すべき租税をその納期限をすぎても納付しない場合に,滞納処分の前提として,期限を指定してその納付を催告する行為のこと(国税通則法37条,地方税法66条,72条の66,73条の34。地方税の場合,納期限後20日以内である)。
契約時に、借金をしていることを家族に隠したい、と希望された場合、督促の電話で会社名を名乗ってはいけないそうです。 身元の分からない電話、フツーは取り次がないですよね…大変だ…今度は、やや恒例の女性の契約者さまの自宅だった。電話口に出たのは契約者の旦那さま。 「怪しいセールスならいらないと言ってるだろう!! 怪しい会社だな!名を名乗れ!」 (な、名乗れるものなら名乗りたいですよ……でもあなたのご家族が、家族に内緒にしてほしいって希望を出してるんですって~) 「キサマ、さては振り込め詐欺だろう、この詐欺師!訴えてやる!訴えてやる!!」(P52)
ワタシもキャリアカウンセリングの場で、様々なお客さまと会話してきたけど、爆弾はナイなー・・他にも、お金が返せない変わりに野菜が送られてきたり、様々なことが起こる督促の現場…ひー! 著者も書いていらっしゃるけど、「借りたお金を返すなんてあたりまえ」じゃないヒトが、世の中にこんなに多いとは…! (著者が新卒入社で配属された部署では、5人に1人が支払期日を過ぎて入金していたそうです) Money in Mouth / Tax Credits ●督促以外にもツカエル「督促OLのコミュ・テク!」がスゴい 人見知りで話しベタで気弱なOLだという著者は、仕事でココロが折れないよう、いろんな本を読んで勉強をしたそうです。 それが各章の後ろにコラムとしてまとめられているんですが、コレがスゴい! コラムのタイトルを羅列してみますね。ある日かかってきた電話を取ると相手は名前も名乗らずイキナリこう言い放った。 「お前の会社に爆弾を送った」 「は……?」 (ばっ、爆弾!?) またもやアラートが鳴り響く脳内。私はどう反応してよいのかわからず、その時とっさに出てきた言葉が、 「かっ……、かしこまりました!」 だった。かしこまってどうするんだよ!(P58-59)
ワタシが「あ、コレ、カウンセリングの電話でもツカエル!」と思ったのが、「その4」 督促は、初期延滞(比較的ソフトな督促)→長期延滞(確信犯)→高難易度債権交渉チームの順に担当が移っていくそう(あ、()内はワタシのイメージです) コラムでは、その高難易度債権交渉チームで回収率の高いT田さんのエピソードが語られています。その1 約束日時は相手に言わせる その2 「お金返して!」と言わずにお金を回収するテクニック その3 いきなり怒鳴られた時に相手に反撃する方法 その4 厳しいことを言う時のツンデレ・クロージング その5 クレームには付箋モードで反撃 その6 「謝ればいいと思ってんだろ!」と言われない誤り方 その7 「ごめんなさい」と「ありがとうございます」の黄金比 その8 声だけ美人になる方法
あ、甘い声かどうかはともかく、電話の終わり方に気をつけてみようと思ったのでした(笑) (1986字) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ■編集後記■ 実はワタシ、前職で督促をしている方々のキャリアカウンセリングを、たっくさんしていたので、本書に出てくるエピソードは結構懐かしかったんです。 ワタシが担当したのは初期督促~長期督促を担当していた男性がほとんどでしたが、タイムマシンがあったら過去に戻って彼らにこの本を読ませたい…!と強く思います。 本書にはたくさん本の名前が出てきますが、著者は本っ当に勉強されているんだなーと尊敬のマナザシ。 この仕事から逃げることなく、「どうやったら回収できるようになるだろう?」「どうやったら心を病まずに済むんだろう?」と、トライ&エラーを繰り返しながら、コツコツと続けてきた著者の榎本さん、本当に素晴らしいです…! ステキな本をありがとうございました! ではまた! <関連リンク>電話を終えるクロージングにさしかかると、T田さんの声と口調がガラリと変わった。 「色々厳しいことを申し上げましたが、くれぐれもご無理はしないでくださいね。お客さまのお体が一番大切なんですから……では、ご入金お待ちしています」 (だっ、誰だ!? この甘い声は!?) クロージング(電話を終えること)のT田さんの声は、思わずつっこみを入れたくなるくらい優しく甘い声だった。いきなり労りの言葉をかけられて、お客さまもビックリして「ハ、ハイ!」と声を上ずらせて返事をしている。 (中略) どんなに感じの良い交渉をしていても締めの言葉がぞんざいだったり雑だったりすると、「なんか感じ悪かったな~」とその電話全ての印象を悪くする。 でも逆に、最後の言葉さえ印象がよければ、その会話全体の印象がよくなることもある。いや、むしろ今までずーっとシビアでキツイ話をしてきた分、その後に優しい言葉が出てくると好感度が急上昇するのかもしれない。(P116-117)