ワタシが幼い頃は、まだ終身雇用前提の社会で、入社したら定年まで勤め上げるのが当たり前だったような気がします。
両親が昔のヒトだったし、幼い頃に周りの友人の親御さんの転職歴なんて気にしたことないので、あくまでイメージですが。
でも、ワタシが大学を卒業した頃から、少しずつ「転職は当たり前」のような風潮が出来てきたように思います。
「若者はなぜ3年で辞めるのか?かく言うワタシも、新卒で入社した会社は、約3年半で退職しましたし。
では、なぜヒトは退職(もしくは転職)を考えるのでしょうか?
①止むに止まれぬ事情②と③は混ざり合っている部分がかなりあると思っていて、その間にあるのが
⇒配偶者の転勤や病気、家業を継がなければならない など
②後ろ向きな理由
⇒上司とソリが合わない、パワハラ・セクハラに遭っている
(コレは①かも?)、ノルマがキツい、サービス残業が多くて体調を壊す
キケンがある などなど
③前向きな理由
⇒他にやりたいことがある、独立する、尊敬する先輩から別の会社に
誘われた、ヘッドハンティングされた などなど
本書のサブタイトルにもある「モチベーション」なんじゃないかなと。
例えば、魅力的な会社からヘッドハントされたとしても、今のシゴトにやりがいが
あったら、もしくは自分しかできないシゴトを任されていたら、両社を天秤にかけて
残るヒトだっています(少なくともワタシは非常に迷うと思う)。
でも、今のシゴトにやりがいを感じられなかったら?誰にでもできるシゴトだと
感じていたら?…渡りに船とばかりに、ヘッドハントされた会社に転職するヒトが
多いのではないでしょうか。
では、「モチベーション」をコントロールするにはどうすれば良いのか?
その問いに答えてくれるのが本書であり、世界初の「モチベーション」にフォーカス
したコンサル会社「リンクアンドモチベーション」の社長で、本書の著者でもある
小笹さんです。

●何でこの会社を選んだのか?
転職経験のある方ならご存知かと思いますが、面接で非常によく聞かれる質問です。
すなわち、
「アナタはなぜ当社を志望されたのですか?」
要するに、志望動機(+どれだけ自社に興味・熱意を持っているか)を訊ねるモノ。
本書によると、近年、「会社に求めるもののパラダイムシフト」が起きたとのこと。
すなわち、
●金銭報酬→意味報酬です。
●地位報酬→市場価値
「意味報酬」とは、人の役に立っている、喜ばれている、成長している、
という、「実感」をいいます。
(中略)
「市場価値」とは、会社という小さな集団の中で肩書きをもらってエラく
なることよりも、会社を出てもやっていけること。
そんな「会社に求めるモノ」の変化が起きている中、人はどうやって会社を選ぶのか?
それは、大きく分けて4つに分類されると本書は説きます。
①仕事の魅力―「好きな仕事かどうか」で選ぶこの4つの優先順位は人によって異なります。
②理念の魅力―「自分はどこへ向かうのか」で選ぶ
③人材の魅力―「何をするか」よりも「誰とするか」で選ぶ
④特権の魅力―「この会社に自分が投資できるかどうか」で選ぶ
(ワタシもキャリアカウンセリングでは、優先順位を意識して質問しています)
それぞれの詳細は本書をお読みいただくとして、意外に見落としがちなのが③だと
ワタシは考えています。
就職・転職の面接の場では、「何をするか」のほうにフォーカスされることが多いと
感じているのですが、実際入社してみて、ジワジワと大切さが身にしみるのは
「誰とするか」のほうではないかと。
正社員であれば、通常1日の1/3を会社で過ごすわけですから、社内の雰囲気や
同僚・上司との人間関係って、すごく大切なことですよね。

●6つの「若手病」、当てはまるモノがある人は要注意!?
まずは6つ引用してみましょう。
①<信じられない病> ~組織に対する不信感~
②<あきらめ病> ~上司に対する失望感~
③<成長したい病> ~仕事に対する閉塞感~
④<自分は関係ない病> ~職場に対する無力感~
⑤<もっと評価して欲しい病> ~待遇に対する不満感~
⑥<変わらない病> ~風土に対する既決感~
いかがですか?当てはまっているモノはありました?
本書では「若手病」とされていますが、ワタシとしては中堅・ベテラン層にも
当てはまる部分はあるのでは?と感じています。
ここでは、前項の③にもつながる⑥に注目してみます。
問題は以下2点に集約されるとのこと。
●「現場」「経営」間のコミュニケーションが滞っているそしてその「本質的な原因は、当事者意識の欠如」だそう。
●問題があっても変化が見られない
「会社がどうなろうと自分には影響がないし、逆に自分が会社に影響を与えることも
できないと思われてはいませんか?」
本書は部下を持つ中間管理職の方を想定読者としているようですが、ついつい自問自答
しちゃいますね。
ヒトは会社を辞めようと決意する前に、上記の6つの病に当てはまるようなサインを
多かれ少なかれ出しているもの。
経営層とまではいかなくとも、上司と部下との間のコミュニケーションが滞っていたら
そのサインを見落とすことになりかねません。
このようなサインって、時間をとって改まって面談、みたいな形を取ると言えないけど、
普段の何気ない会話の中でポロっと見えたりするんですよね。
(なので、世間話も時には必要だと思っています。もちろん限度はありますが)
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前述の通り、本書は部下を持つビジネスパーソン向けに書かれたものです。
本書の後半は、前述の6つの「若手病」の解決策が書かれています。
ワタシは現在部下を持っていないため、本記事では割愛しますが、逆手をとって
自分の上司がモチベーションを上げる上司なのか、下げる上司なのか、を判断する
チェックシートになるかもしれません(笑)
あ、もちろん、現在は上司に非常に恵まれていますよ!念のため。
本書の「おわりに」に、解決策の総括になるような箇所があったので、最後に引用。
モチベーションの状態に最も影響を与えるのは、コミュニケーションです。
コミュニケーションが円滑に行われるためには、そこにいる人にとって、
居心地のよい共同体が存在する必要があります。
アナタの会社では、コミュニケーションが取れていますか?
その場所は、居心地よいですか?
転職はむやみにするモノではないと思いますが、本書を読んで当てはまる箇所が
たくさんあったヒトは、一度現状を見なおしても良いかもしれません。
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■編集後記■
今回は1記事にまとめて書感を書いてみました。
個人的には1つにまとまっていたほうが良いかなーと思ってるんですが、
どうなんでしょう…?
余談ですが、今週金曜に予定されているEvernoteのイベント、
「Evernote 日本語版 2周年記念User Meetup」に参加できることになりました!
先着80名のイベントで、ワタシは83番目。
キャンセル待ちに申し込んだものの、キビシイかなーと思ってたので超うれしいです♪
参加される皆さま、どうぞよろしくお願いします!
<目次>
第一章 会社に所属する理由の変化
― 会社とは、人間の欲望を満たす装置である
― 人はどうやって会社を選ぶのか
― あなたの部下は、なぜ働いているのか ほか
第二章 転職を決意する瞬間
ー 「社長はこのこと知ってるのかな」
― 「なんだか最近、成長していないんだよね」
― 「どうせ会社に何を言ってもムダだよ。変わらないよ」 ほか
第三章 仕事の意義を創り出す
― 働き続けるシステムが変わった
― 4つの仕事の意義~部下の意欲を引き出す方法~ ほか
第四章 部下が変わる上司のアクション
― 上司と部下は運命共同体である
― 変えようとすると、部下は変わらない ほか
第五章 働く喜びは共同体の中に生まれる
― 私たちはこれから、何を欲望するのか
― 影響力のある上司・5つのキーワード ほか