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日本語は他の言語に比べて「難しい」と言われるそう。 母国語であるはずの日本人でも、迷ってしまうような表現がたくさんありますよね。
ややこしい誤用は置いといて、今回は「日常的に使っているけど、実は間違ってるの!?」という表現についてご紹介します。
「~という」と「~と言う」には明確な使い分けルールがある
まず、よく誤用されているのを目にする「~という」と「~と言う」の違いについて。 共同通信社から出版されている『記者ハンドブック 第12版 新聞用字用語集』から引用してみますね。
*「言う」=思ったことを言葉で表わしたり、述べたりする場合に使う(実際に誰かがしゃべっている)。 例)Aさんは「~」と言う/彼が言うには/言いたいことを言う/はっきり言って etc. *「いう」=「言う」の実質的な意味が薄れた場合に使う(誰かがしゃべっているのではなく、伝聞や比喩的な言い回し)。 例)Aさんという人/あっという間に/そういうことだ/いざというとき/そういえば/~というわけだ/どちらかといえば etc.
新聞の文ではない一般的な文章でも、使い分けたほうが良さそうですね。
「ください」と「下さい」も役割が異なるので注意!
原則として、「下さい」は「下さる」という動詞の命令形です。
「下さる」は「与える」「くれる」の尊敬語。 尊敬語を命令形にしているというフシギな感じですねw
例)資料を下さい/この肉を下さい/ビールを下さい
一方、平仮名の「ください」は補助動詞です。
相手に何かの動作をお願いする場合に使います。
例)ご注意ください/ご了承ください/車でお越しください
同じような意味で使われる言葉に「いただく」「頂く」があります。
漢字の「頂く」は、動詞「食べる」「飲む」「もらう」の謙譲語として使います(例:名刺を頂く)
平仮名の「いただく」は「~してもらう」の尊敬語として使います(例:お越しいただく)
「~してもらう」と「(自分が何かを)もらう」がややこしいんですよね…… よく混同して使っている文を目にしますが、用途によって使い分ける必要があるかと。
ざっくりまとめ:(自分の)動作を伴わない・目に見えない=平仮名
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以下の文をご覧ください。
「これからは**と言う事を、出来るだけ意識して行こう」
さすがに違和感ありますよね?
でも、実際にビジネスの場ではしばしば目にするのではないでしょうか。
上記の例文のように、やたらと漢字変換する方もいますが、特にメールの場合は 文面が黒っぽくなり、読みづらい印象を与えてしまいます。
「これからは**ということを、できるだけ意識していこう」
コレで充分に意味は伝わります。
前項では、補助動詞やら謙譲語やらムズカシイ言葉を使いましたが、ワタシが普段ざっくり意識しているのは、
- 「自分の動作を伴うことか?」
- 「目に見えるモノか?」
という2点です。
上記の例文だと、
- 「と言う」→ 実際に自分の発言ではないので「という」
- 「事」→ 目に見えないモノなので「こと」
- 「出来るだけ」→ 具体的な動作ではないので「できるだけ」
- 「行こう」→ 自分がどこかに行くわけではないので「いこう」
という感じです。
※「出来るだけ」は場合によっては漢字のままにします。
(例えば、平仮名が続いて文章が読みづらいとき等)
「あの人、身なりはキチンとしているのに、言葉遣いが残念だよね……」なんて言われないよう、正しい日本語を使いたいですよね!
編集後記
コレ、我ながら細かいなー面倒くさいやつって思われるだろうなーと思いつつ、ずーーーーっと書きたかったのです!
はー、スッキリ。
もちろんワタシも完璧とはいえませんが、他にも句読点や「てにをは」の使い方など、気になることはたっくさんありますw
ちなみに「**して無い」というのも誤用です。
「**していない」の「い」が抜けてしまっているだけなので(ああっ、また細かいって言われるっw)
『記者ハンドブック第12版』、とってもオススメですよ!