NEO踊るOL。

もう踊っていないしOLでもない、フリーのライター/カメラマン/PR/マーケター。都内に生息。

【書感】電車の中で読むのはキケン!な珠玉の一冊~100歳、ずっと必要とされる人/福井福太郎

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こんばんは!
昔から医者に「キミの人生は"太く短く"だね」と言われ続けている踊るOLです。

今日ご紹介するのは、先日の食事会で日経BP社さまよりご恵贈いただいた
100歳、ずっと必要とされる人 ――現役100歳サラリーマンの幸せな生き方
という一冊。

現役100歳のサラリーマン???

と思う方も多いと思います。ワタシもそうでした。

しかも、著者の福井福太郎さんが、大学の助手や毛皮の販売などの職を経て、サラリーマンになったのは49歳とのこと。
キャリアカウンセラー的な考え方だと、アリエナイ!と叫びたくなるご職歴。


本書は、そんな福太郎さんの人生を紐解きながら、仕事観や人生観、死生観などについて、優しい語り口調で書かれた一冊。

その1行1行に込められた言葉の深さに、通勤電車内で拝読していたワタシは、人目もはばからずポロポロと泣いてしまいました(隣に座ってたサラリーマンにはドン引きされ、反対隣のOLさんがポケットティッシュくれましたw)

文章でどこまで伝えることができるのか分かりませんが、さっそくワタシの感動ポイントをシェアしていきます!
 

Business Baby Pointing
Business Baby Pointing / the UMF


●働き続けるのは、それが本能だから

福太郎さんは「どうして100歳になっても働くんですか?」とよく聞かれるそうです。
そりゃそうですよね、ワタシだって聞くと思いますもん。

ちなみに、福太郎さんの息子さんは、すでに現役を引退されていて、あきれたり感心されたりするそうです(息子さんはいわゆる「団塊世代」だそうですが、福太郎さんから見ると「60代はまだ青年だからね」とのこと。いちいちビックリです)

その問いに対して、福太郎さんは「本能だから」と答えます。
元気な間は、人間はずっと働かなきゃいけないと思ってるんです。だって、動物は、死ぬまで自分の力で食料を調達して生きていますよね。人間も動物の一種なんだから、生きるために、死ぬまで働かなきゃいけないものなんじゃないかな。(P49)
こんな風に考えたこと、今まで無かったなぁ…

96歳の時、さすがに歳をとったので、会社を辞めたいと申し出た福太郎さん。
でも「ずっといてほしい」とオーナーに言われて、今でもご自宅のある辻堂から、神田まで通勤されているそうです。満員の山手線にも乗っていらっしゃるとのこと。スゴい!


●宇宙から与えられた運の中で、精一杯努力する

福太郎さんの人生は、時代背景も含め、激動の人生です。

時代としては、関東大震災世界恐慌、2回の世界大戦など。
個人的には、正妻の子ではないという生い立ちから、慶応大学を優秀な成績で卒業しながら、就職活動に失敗したり、戦争で子ども2人を亡くしたり、大学助手の仕事を諦めなければならなくなったり、取引先とケンカしたおかげで出世できなかったり。

今どきの若者なら、どれか1つを経験した時点で、諦めモードに入ってしまうような気がします。

でも、福太郎さんは、
そうやって、悪いことだけを拾って並べてみると本当に色々なことがあったけれど、きっと誰でも、人生って長くなれば、山あり谷あり。人生だって、景気だって、ずっといいなんてこと、ないんだから。そんなものなのではないかなあ。
僕は、そういう巡り合わせだったんだから、そういう運だったのだから、きっと仕方ないんだ。そう思うしかないね。だから、宇宙から与えられた運の中で、自分ができる努力を精いっぱい、していくしかないんだ。(P73-34)
とおっしゃいます。

「達観」とは少し違う、素敵な人生観ですね。ワタシもそんな風に思えるようになるといいな。

Hubble Snaps Heavyweight of the Leo Triplet
Hubble Snaps Heavyweight of the Leo Triplet / NASA Goddard Photo and Video

●死んだら宇宙の一部になる

「人間、死んだらどうなるの?」という問いに、福太郎さんは必ずこう答えているそうです。
まずね、命っていうのはね、自分のものじゃない。あくまで天から、宇宙から与えられたものなんだ。
そして死ぬっていうのはね、人間が心をなくすことなんだ。心をなくして、体だけしかない「もの」になるんだよ。(P81)
福太郎さんは、輪廻転生なんてない、と言い切っています。
仏教も「考え方は悪くないけど、今の時代、仏教はすっかり、ただの葬式仏教になってしまった」とおっしゃいます(金額で戒名の格が違うなんておかしい、という考えだそう)

この章の解説にも書かれていますが「100歳にして、宇宙規模で考える」福太郎さん。
本書では「宇宙教」と表現されていますが、素晴らしい考え方だなぁと思います。

ちょっと長いけど、「宇宙教」の考え方を抜粋してみます。
僕たちが住んでいる地球は、宇宙の一部だ。それも、巨大な宇宙の中では、ものすごく小さな存在だね。だからそこに住む人間というのは、さらにとっても小さい存在だけれど、宇宙の一部ではあるわけだよね。
(中略)
だから、死んでもきっと、塵みたいなものは残るんじゃないかな。魂、というより、塵だ。人間も、動物も、最後にはみんな宇宙の塵になるんだ。そして、心がなくなり、体もなくなり、宇宙の塵になって広大な宇宙へ散っていったら、ひょっとしたら宇宙の一部になれるんじゃないだろうか。
この宇宙の歴史に比べたら、僕が100年生きているなんて言っても、本当に一瞬にしかすぎない。天のものさしでいったら、100年も50年も大して変わらない。
(中略)
いるかいないかわからない神様を信じるよりも、謎だらけだけれども、あることは間違いない、神秘的で謎だらけの宇宙について考えて、
「死んだら宇宙の一部になるんだ」
と考えた方が、人はもっと楽なように思うんだ。(P84-86より抜粋)
ワタシの友人にも「宇宙規模」でモノゴトを考えるヒトがいるんですが、上記の部分を読んで、なんかシックリきた感じがします(ワタシも宇宙教に入信しちゃう!?)


●利他の心を人生の柱にして生きる

人間、自分勝手はいけないよ。人のために何ができるかを考えて生きなきゃ、だめなんじゃないかな(P95)」とおっしゃる福太郎さん。

そんな「利他」の考え方は、誰に教わったわけでもなく、「小さな頃から周りの人たちが、いつも助けあって生きていたから」身についたそうです。

利他主義の考え方そのものは、ずっと前から世界中にあったそうです。
福太郎さんご自身は、大学時代に勉強されていた18~19世紀のフランス経済学の思想から影響を受けたとのこと。

解説によると、いわゆる「義理」や「人情」ではなく、「お互いさま」の精神に近い考え方のようです。
福太郎さんの発想は、相手のことをよくよく考えてはいるけれど、自分を捨ててまでというのではなくて、あくまで対等の関係である感じがするのです。
(中略)
つまり、福太郎さんが考える「利他主義」の行動とは、「互いに幸せになる」ということがベースにあるのです。「互恵的」とでも言えるような、相手に何かをしてあげれば、自分にも何かが返ってくるという考え方です。(P110-111)
「お互いさま」の精神って、ワタシが小さかった頃には、もっとアタリマエに身の回りにあったような気がします。

「自分を捨ててまでというのではなく」というがポイントなのかな。
「○○して"あげたのに"」っていうヒトがいるけど、違うんですよね(って言いつつ、ワタシもまだまだ未熟ですけども)


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■編集後記■

なんかもう、ただただ「大きいなぁ、温かいなぁ」と圧倒されます。

もちろん、長生きしている=偉い、というわけでは無いとは思いますが、本書の冒頭にあるように、「時代の流れを握ったわけでも、権力を握ったわけでもありませんが、歴史を動かす巨大な力に翻弄されながらも、100年という歴史を着実に刻んできた主人公」であり、「周りの人にとってはかけがえのない「ヒーロー」の一人」なんですね。

ランチはマクドナルドに行くこともあるとおっしゃる福太郎さん。
Amazonでは福太郎さんのインタビューを見ることができます。

全部で157ページと短めの本ですが、福太郎さんの100年間がギュギュギュッと詰まっています。

ホントは別の本の書感が先だったんだけど、コレは読み終えた今、書かなくちゃ!と思った次第です。オススメ!

<目次>

序章 :辻堂から神田まで、僕の毎日。
第1章:昔えらかったとか、えらくなかったとか、どうでもいいことなんです。
第2章:100歳まで働けるなんて、ありがたいよ。
第3章:働き続けるのは、それが本能だからだよ。
第4章:差別も軍隊生活も経験した。でも、不幸だなんて思ったことはないよ。
第5章:死んだら宇宙の一部になれるんじゃないかな。
第6章:人間、人のために生きなきゃ。
第7章:日課は、新聞を読み、辞書を引くこと。長生きの秘訣? そんなものないよ。
第8章:資本主義だって、永遠には続かないよ。
第9章:もう死ぬことなんて、あまり考えなくなったよ。